契約社員、派遣社員、パート、アルバイトといった非正規社員を活用する企業が増えています。しかし、非正規社員は会社の都合や雇用期間の終了によって職を失うこともあるため、大きな社会問題になっています。ここでは「働き方」について考えてみましょう。

正社員と非正規社員は何が違うの?

雇用形態別の就業者数の推移

世の中にはたくさんの企業があり、多くの人が働いています。かつては、企業で働く人のほとんどが正社員という時代もありましたが、現在は「正社員」「契約社員(期間社員)」「パート」「アルバイト」「派遣社員」など、さまざまな人が同じ会社や職場で働いています。このうち「契約社員(期間社員)」「パート」「アルバイト」「派遣社員」は、一般に「非正規社員」と呼ば れています。

正社員

雇用期間を定めないで、定年まで働くことができるのが「正社員」です。正当な理由(会社の信用を失う行為や利益に莫大な損失を与える行為)がない限り、会社は一方的に解雇することはできません。

仕事内容は会社の業務すべてに携わります。「営業職」「事務職」など、特定の職種で入社しても、多くの経験を積んで幅広いスキルを身に付けることが期待されていて、大きな仕事を任されるケースもあります。経験を積んでいく過程では、他部署に転属・転勤になることもあります。部署を統括する課長や部長といった管理職になることもできます。

労働時間は、会社の定める就業時間に加え、残業や休日出勤にも対応しなければなりません。賃金は各会社が定めた支給額が定期給与という形で支払われます。経験やスキルに応じた昇給もあり、業績がよければボーナスも支給されます。このほか、各種社会保険、有給休暇、交通費、退職金制度などの福利厚生も充実しています。

非正規社員

◆契約社員(期間社員)

雇用期間や業務内容を決めて働くのが「契約社員」です。雇用期間が定められていることから「期間社員」と呼ばれることもあります。正社員と同じく正当な理由がない限り契約期間中に一方的な解雇はできません。最初の契約で「できる人材」と見なされれば、契約を更新したり、正社員に登用されることもありますが、会社の景気が悪くなれば、契約は更新されません。

仕事内容は会社によって異なります。特定の知識やスキルを必要とする専門職として採用するところもあれば、正社員の補助的な仕事をするスタッフとして採用する会社もあります。原則、転属・転勤、管理職への昇進はありません。労働時間は正社員と同じフルタイムが一般的。賃金は契約で取り交わした金額が毎月支払われます。基本的にボーナス・退職金はありません。このほか各種社会保険、有給休暇、交通費等の福利厚生は正社員に準じている会社が多いようです。

◆パート、アルバイト

フリーター数の推移

法律では、1週間の労働時間が35時間未満の労働者を「パート」としていますが、実際には「パート」と「アルバイト」の違いは明確ではなく、正社員よりも就業時間が少ない社員を「パート」もしくは「アルバイト」と呼ぶ会社が大半です。このようにパートやアルバイトで生計を立てている15歳~35歳未満の若者は一般に「フリーター」と呼ばれています。パート、アルバイトは会社が忙しい時期や個人のスキルに頼らなくていい仕事で採用することが多いため、会社の景気が悪くなれば、まず最初に解雇対象となるのが現実です。

仕事内容は会社によって異なります。パートやアルバイト専用の業務を設けている会社もあれば、正社員と同じ仕事を任されるケースもあります。

労働時間は決められた「曜日」「時間」に働きます。賃金は原則、時間給×労働時間です。各種社会保険等が適用されるかどうかは労働時間数や会社によって違います。

◆派遣社員

「派遣社員」とは、「希望する職種」「身に付けている知識・スキル」「職務経歴」などを派遣会社に登録して、依頼のあった企業に出向いて働く人のことです。雇用形態は実際に働く会社との直接契約ではなく、派遣元の「派遣会社」の社員ということになります。派遣期間は1日~3年まで企業の依頼によってさまざまです。

仕事内容は、特定の知識やスキル、経験を必要とする専門職から一般事務職まで多岐にわたります。労働時間、残業の有無は、派遣会社と依頼企業との間で取り決めます。賃金は派遣会社から支払われます。金額は時間給×労働時間で、一部を手数料として派遣会社に支払います。各種社会保険等は登録している派遣会社のルールが適用されます。

賃金はどのくらい違うの?

このように「正社員」と「非正規社員」にはいろいろな違いがあるのですが、実際の職場においては、仕事内容はたいして変わらないのに、給料や福利厚生*などの待遇面がまったく異なるという現実があります。

20代の若い時は、正社員でもアルバイトでも賃金は大きく変わらないので、「就職先があるならアルバイトでもいいや」と思いがちですが、前述したように、正社員は経験やスキルの習得によってベースアップがあるため、40代になる頃には収入に大きな差が出てきます(図5)。パートやアルバイトで働く人の時間給は1000円程度。フルタイムで働いても年収は約200万円。40~50代では正社員のほぼ半額です。大きな病気やけがをしたら、とても生活していける金額ではありません。

このほか正社員にはボーナスや退職金制度、各種社会保険、年金制度もあるため、生涯賃金*、老後の保障はさらに大きな差が出てきます。

また、アルバイトはたとえひとつの会社で長く働いていても「定職に就いていない」というイメージが強く社会的評価も低いため、「住宅ローン」など、公的機関からの融資を受けることが難しい場合もあります。
安定した生活をするためには、正社員として就職し、自分のスキルを向上していける職場を見つけることが大切なのです。

雇用形態別の賃金の推移

*「福利厚生」とは
健全で豊かな生活が送れるように、企業が従業員に対して給与以外に提供する援 助やサービスの仕組み。法律で定められたものとしては「健康保険」「厚生年金」 「雇用保険」「労災保険」があります。このほか企業が任意で行うものとして「住宅 補助」「レクリエーション」などがあります。福利厚生が充実しているかどうかは企 業選びの大切なポイントといえます。
*「生涯賃金」とは
働いている期間に得る「定期給与」に「ボーナス」と「退職金」を加えた金額。

出典:当振興会発行「業界&就職ガイド2018~2019年度静岡県版」より