「社会的・職業的に自立する力」「企業で求められている力」を身に付けるためにまず考えられるのは学校に通うことです。各学校の特徴を理解し、自分の目的に合わせて利用することで、求められている「力」を養うことができます。

希望する仕事に就くためには準備が必要

希望する業界や仕事に就くためにはそれなりの準備が必要です。例えば、看護師になりたいなら看護師の資格を持っていなければ求人に応募することはできません。従って、まずは看護師の資格を取るために勉強をはじめることが就職への第一歩となるわけです。

たとえ資格が必要ない仕事であっても、業界や仕事についての理解、社会人としての心構えは必要です。加えて、最近は不況の影響で、新人教育の経費を減らすところも多く、入社後すぐに戦力となる知識・スキルを持った人を求める企業も少なくありません。

世の中にはこういった社会や企業で求められる「力」を身に付けることのできる教育機関が用意されています。その代表的なものが専門学校、各種学校、大学、短期大学です。

「なりたいもの」「やりたいこと」をイメージしよう

上級学校(専門学校、各種学校、大学、短期大学等)への進学にあたっては、「自立(就職)する」ことを常に頭に入れておきましょう。将来なりたいもの、やりたいことをイメージして、その目標を実現するためには、どのような知識やスキルが必要か調べ、それらを身に付けることのできる教育機関(学校)に進学することが大切です。特に希望する職業に資格が必要な場合は、その資格が取れる学校に進学することが最優先事項となります。

みなさんの中には、「なりたいもの」「やりたいこと」を具体的にイメージするのが難しいという人もいるでしょう。今の段階では必ずしも厳密に決める必要はありませんが、「こんな業界に進みたいな」とか「こんな仕事をしてみたいな」といった方向性は決めておきましょう。20~22ページに「自分にあった職業の見つけ方」を紹介していますので参考にしてください。

これからの社会で求められる人材とは?

自分の“やりたいこと”に向かって、必要な力を身に付けることはもちろん大切です。一方で、これからの社会ではどのような産業分野で、どのような人材が求められるのか、そうした人材になるためには、どのような力を身に付けたらいいのかを知ることも、実際に仕事に就いて、継続的に働いていくためにはとても重要なこと。産業構造の変化や、グローバル化、少子高齢化に伴う労働人口の減少など、さまざまな問題が複雑に絡み合うこれからの時代に求められる人材像について、考えてみましょう。

経済社会を支えている人材層を知ろう

経済社会で最も必要とされる人材とはどんな人でしょうか。例えば同じ企業に勤めていても、新入社員と社長では、持っている力も、働き方も当然違います。しかし、これらはほんの一握りで、実際に経済社会を支えているのはその中間の人たち。つまり、ある程度の専門的な知識・技術を持ち、組織の中で中心となって働く多くの中堅・中間層です。その仕事には、中心メンバーとして業務を遂行する、チームリーダーとして業務をマネジメントする、責任者として組織をマネジメントするなど、幅広く段階的なスキルが求められます。文部科学省ではそのような中堅・中間層を「中核的専門人材」とし、働き方や求められる能力を客観的に評価できるよう、下の図のように整理しています。

中核的専門人材が遂行する業務レベル

実務LV. 担当職務
5 大規模組織の責任者として、広範かつ総合的な知識等基礎に、
組織マネジメントを行う。
4 中小規模組織の責任者として、専門的な知識等を基礎に
組織のマネジメント等を行う。
3 ・チームリーダーとして、実践的・専門的な知識等を基礎に、
業務遂行を主導するとともに、 業務のマネジメント等を行う。
・チームリーダーとして、実践的・専門的知識等を基礎に、
豊富な専門性の高い業務経験を生かして、
高度の業務遂行や困難事項への対応を行う。
2 グループやチームの中心メンバーとして、実践的・専門的な知識等を
基礎に、創意工夫を凝らして自主的な業務を遂行する。
1 専門的な知識等を有する担当者として、上司の指示・助言を踏まえて
通常の定業的業務を確実に遂行する。

各分野に共通して中核的専門人材に求められる知識など

基礎知識 ●組織人としての常識
(マネジメント・財務・法律・基礎知識)
対人関係能力 ●コミュニケーション能力
(意思疎通、協調力、自己表現力、人的ネットワーク構築力)
●主体性・積極性
自己開発能力 ●自己マネジメント力
●職業人意識(責任感、職業意識・勤労観)
問題解決能力 ●課題設定力(創造力、戦略・戦術立案力)
●創造力
●新しい技術に対する探究心、開発力
●情報収集・分析力

※文部科学省「成長分野等における中核的専門人材養成について-基本方針-」

外国で行われているさまざまな評価制度

社会で求められる能力を客観的に評価する取り組みは、人材育成やキャリア・アップが図りやすくなったり、能力が適切に評価してもらえることで、他の職業に転職したり、海外に職を求めるような場合でも、それまでと同等の評価が得られるようになるなど、雇用や人材の流動を促進する多くのメリットが期待されています。諸外国の中には右図のように、早くから能力を客観的に評価し、資格などとして保証する取り組みをスタートしているケースがあり、日本においても早急な制度化が待たれているところです。

制度 概要
米国 National Skill Standard
(全国職業技能スタンダード)
雇用主団体、組合労働者、政府、従業員団体、教育訓練機関などからなる産業連合が、「職業技能スタンダード」の開発・利用の資格を設定。各教育機関など、多様な団体がそれを認証している。
英国 National Qualifications Framework
(全国資格枠組み)
一般教育・職業教育・技能資格を統合した総合的な資格制度。政府が資格授与団体、標準設定団体の質を保証している。
韓国 Credit Bank System
(単位銀行制度)
職業経験や資格の取得など学外での学習経験を単位として累積し、一定量の単位を取得した者に学位を授与する制度。

日本でも職業能力を評価・認定する「キャリア段位制度」がスタート

こうした世界の動きを受けて、日本でも職業能力を客観的に評価・認定する「キャリア段位制度」が、内閣府の推進によりスタートしています。これは、英国の「NVQ※制度(全国職業資格制度=作業遂行能力のレベルに応じて5段階で評価する資格制度)」を参考にしたもので、現在は「介護プロフェッショナル」「カーボンマネジャー」「食の6次産業化プロデューサー」という3分野で、仕事をするために必要な能力を7つのレベルに分けて認定しています。ゆくゆくはあらゆる職業においてこの制度を取り入れ、人々のキャリアや能力がより正当に評価される社会の実現を目指しています。

※National Vocational Qualification

出典:当振興会発行「業界&就職ガイド2018~2019年度静岡県版」より