世の中には、さまざまな産業、業種、業界、職種があります。将来やってみたいこと、自分にあった仕事・職業を見つけていくには、まず、これらのしくみを理解することが大切です。ここでは「産業」「業種」「業界」「職種」の特徴と社会で担う役割についてみていきましょう。

「産業」ってなに?

人々が生活するうえで必要なものを採取したり、作り出したり、提供したりする経済活動を「産業」といいます。「産業」はその内容によって、第1次産業、第2次産業、第3次産業に分かれています。

「第1次産業」は主に自然界に働きかけて、直接、富を採取する産業。農業・林業や漁業がこれにあたります。「第2次産業」は、第1次産業で採取したものを原料として加工し、富を作り出す産業。鉱業や建設業、製造業などがこれにあたります。「第3次産業」は、第1次産業および第2次産業に含まれない産業。小売業、宿泊業、飲食サービス業、医療・福祉業、金融業、情報通信業など、一般にサービス業と呼ばれるものです。

それぞれの「産業」ではどのくらいの人が働いているの?

産業別の従事者数と就業者総数に占める割合は、令和2年に実施された国勢調査によると、第一次産業は213万人(3.2%)、第二次産業は1,547万人(23.1%)、第三次産業は4,826万人(71.9%)でした。これを平成2年と比較してみると、第一次産業は451万人が213万人に、第二次産業が2,099万人から1,547万人にそれぞれ大幅に減少しているのに対し、第三次産業は3,668万人から4,826万人に大幅に増加し、就業者の割合も全就業者の7割以上を占めており、わが国の就業構造上、サービス業が主流産業となりつつあることがわかります。(図1)

これには、日本が豊かになりサービスに高い質を求めるようになったこと、原材料の多くを海外からの安い輸入品に頼るようになったこと、生産拠点を人件費の安い海外に移す企業が増えたことなどさまざまな要因が関係しています。少子化・高齢化がいっそう進む今後もこの傾向で推移するものと考えられます。

一方で、食料自給率の低さや都市部と地方の格差などが問題になっていて、地方では農業を中心に第1次産業に従事する若者が強く求められています。また、不況の影響で全体的な雇用環境は厳しいといわれていますが、医療・福祉、運輸業など、人手不足で多くの人材を求めている業種・業界もあります。

図1:産業構造の変化
項目 平成2年 令和2年
人口 1億2,361万1千人 1億2,614万6千人
就業者総数 6,249万人 6,710万人
※総務省統計局「国勢調査」、「労働力調査」
※国勢調査は2020年が最新データ

出典:当振興会発行「業界&就職ガイド2022~2023年度静岡県版」より